大阪市西成区の「あいりん地区」は、かつて日雇い労働者や路上生活者が集まり、「日本のスラム」と呼ばれたほど治安が悪く、暴動や薬物などの混沌が蔓延しました。現在も独特の雰囲気が残る場所です。
本記事ではあいりん地区がやばい理由と現在の状況を調査しました。
【大阪】あいりん地区とは?
まず、あいりん地区とはどんな街なのかを紹介します。
西成区に位置する日本最大のドヤ街
あいりん地区とは、大阪市西成区の荻野茶屋や太子、山王周辺を指す通称です。もともと「釜ヶ崎」と呼ばれていましたが、より良いイメージを持たせるために行政と報道機関が共同で「愛隣」を意味する「あいりん」に改称しました。
この地域は戦後の高度経済成長期に、建設業などの肉体労働者が多く集まり、日雇い労働の拠点として発展してきました。その結果、簡易宿泊所(通称:ドヤ)が密集し、路上生活者が多く見られるようになり、全国的に「治安が悪い」「近寄ってはいけない場所」といったイメージが定着したのです。
「あいりん労働福祉センター」が象徴的存在
かつてこの地区の象徴的な存在だったのが、1970年に設立された「あいりん労働福祉センター」です。日雇い労働者向けに職を紹介する機能を担い、毎朝多くの人が集まり仕事を探していましたが、近年ではその役割も大きく変化しています。
あいりん地区の何がやばい?その理由は?
あいりん地区は「やばい」というイメージが非常に強い街です。その理由は過去に様々な問題点があったためとのこと。ここでは、そのやばいと言われている理由について紹介します。
暴動の多発
あいりん地区の「やばい」とされる要因の一つは、過去に何度も発生した暴動です。特に有名なのは、1961年から2008年にかけて発生した計24回以上の暴動で、警察と住民が激しく衝突しました。
原因は警察による不当な職務質問や暴力、待遇への不満などが複合的に絡んでいます。
薬物や違法行為の温床
あいりん地区では、長年にわたって覚醒剤などの違法薬物の取引が行われてきていたという報道もあります。さらに、闇金や違法賭博など反社会的勢力の影響も強かったことから「治安が非常に悪い」として全国的に知られるようになりました。
生活困窮者・高齢者の密集
この地域には生活保護受給者が非常に多く、長年にわたり貧困の象徴ともされてきました。特に目立つのが恒例の男性の単身生活者で、医療や福祉の支援を受けながら簡易宿泊所に住む人も多いです。
孤立や孤独死といった申告な社会問題も根強く存在します。
現在のあいりん地区の状況は?
過去にはあまり良くないイメージが強かったあいりん地区ですが、現在の状況はどうなっているのでしょうか?
再開発による街並みの変化
2010年代以降、大阪市による再開発が徐々に進み、道路や公園の整備、古い建物の取り壊し、外国人観光客向けのゲストハウスの増加など、街の様子は少しずつ変わりつつあります。
特に「新今宮」駅周辺ではホテルの建設も目立ち、かつての「ドヤ街」の印象は薄れつつあると言えるでしょう。また、コンビニやカフェなど新しい店舗の出店も増えており、地域住民だけではなく観光客も利用しやすい環境が整いつつあります。
外国人バックパッカーが注目するディープな街
近年では、あいりん地区の格安宿泊施設が外国人観光客の間で人気となっており、バックパッカーにとって「安く泊まれる面白い場所」として注目されています。英語や中国語など多言語に対応した施設も増えており、観光地としての一面も見せ始めていると言えるでしょう。
また、地元の飲食店や個性的なスナックも人気で、ガイドブックには載っていない「リアルな大阪」を体験できるエリアとして海外からのリピーターも増加傾向にあります。
地域支援やボランティア活動の広がり
社会福祉団体やNPOによる支援活動も活発になっており、食事提供・医療支援・就労支援など地域に根差した取り組みが増加中です。また、炊き出しや生活相談会も定期的に行われており、あいりん地区を支える人々のネットワークが広がっていると言えます。
さらに、地域清掃活動や高齢者の見守りボランティアも展開されており、住民の安心と安全を支える取り組みが多方面で継続されています。行政との連携も強まり、支援体制が少しずつ整備されているようです。
あいりん地区が今も「やばい」と言われるのはなぜ?
現在は、昔と比べるとはるかに治安もよくなっているあいりん地区ですが、現在も「やばい」という声があがっています。その理由について紹介します。
ネット上のイメージと実際のギャップ
ネット上では、過去のあいりん地区の治安の悪さを強調した情報が多く見られ、「行ってはいけない場所」といった極端な書き込みも少なくありません。しかし、実際には街の雰囲気が変わってきており、昼間は比較的落ち着いています。
ただし、夜間に一部エリアで酒や薬物の影響と思われる様子が見られることもあるため、完全に安全とは言い切れないのも現実です。
独特な空気感と閉塞感
再開発が進んでいるとはいえ、あいりん地区にはまだ多くの簡易宿泊所や生活困窮者が存在し、独特の空気感が漂います。観光地とは違う、生活と貧困が入り混じった雰囲気は、慣れていない人にとっては「怖い」と感じることがあるかもしれません。
あいりん地区を訪れる際の注意点と心構え
昔とは違う雰囲気となっているとはいえ、訪れる際には注意点もあるということで、ここではその注意点や心構えを紹介します。
基本的なマナーを守る
あいりん地区を訪れる際には、地域に住む人々に対するリスペクトと理解が重要です。無断で写真を撮る、冷やかし目的で立ち入るといった行動はやめましょう。地元の人々は長年この地で生活してきた背景があり、決して観光スポットではないことを忘れてはいけません。
女性の単独行動や夜間の訪問は注意
女性の一人歩きや夜間の訪問は避けた方が良いとされています。近年は安全になったとはいえ、夜になると雰囲気が一変するエリアもあり、念のため慎重な行動が求められます。初めて訪れず場合は、明るい時間帯で複数人での行動をおすすめします。
最後に
あいりん地区は何がやばいと疑問に思われていた人も多い中で、過去に暴動や違法薬物問題があったことがわかりました。しかし現在は、再開発や支援活動により変化しつつあります。現在は多様な人々が共存する地域となってはいますが、訪れる際には理解と注意が必要です。